涙の海を渡ろう

○月×日

いつも通りの休み。朝、彼女からの電話。

しばらく会えていないけど変わりないみたい。

最近読んでる小説の話を延々と聞かされた。

前に勧められたけどあんまり読む気にならなくて。

「まだ読んでない」って言ったら彼女の機嫌が悪くなってしまった。

それでも電話は続いて、気づいたら昼前になってた。

 

○月×日

今日は1日天気が悪かったけど、勧められた本を買いに行ってそれを読んで過ごした。

(雨の中外に出るのは億劫だけど、彼女の雷が落ちるのはそれ以上に怖いから。)

読んでいる最中も、話に入っていく気にはなれなかった。

でも彼女はこの本を夢中で読んでいたんだなあという事はわかった。

   

○月×日

結局夜遅くまで勧められた本を読んでいたら大寝坊。

またやってしまった。

毎回しょうもない事で…いや、しょうもない事ではないぞ。彼女に勧められた本を読んでたんだ。

とか思ってたら電話が来て、また怒られると思いながら恐る恐る出ると、「ゆっくり来なよ」 って。

彼女の家に着いた時も怒ることもなく。準備してくれていたオムライスを食べて、雨が止んだから少

し遠くまでドライブをした。好きな曲流し合いながら、目的地もなく。

付き合い始めた時の事を思い出して、なんか帰りたくなかった。

   

○月×日

またしばらく会えない日々が続く。

こういう日がいつまで続くんだろうか。

いつまでこういう事を続けるんだろう。

突然のことだった、突然いなくなった。

君の香りと荷物だけが残るガランとした部屋で、君への手紙を読み返していた。

君は絵を描くのが好きだったけれど僕にはそういうのがないから、手紙や日記なんてベタなもので想いを綴った。

言葉こんなに息苦しくて、言葉はこんなに心を豊かにさせる。

時にそれは僕の心臓を抉った。

「そんなつもりじゃない。」

なら、どういうつもりだったんだろう。

そんなことどうでもよかった。

行き場のない気持ちをぶつける先がなかった。

僕は泣いた。止まらなかった。

気がつくと僕は小さな舟の上にいた。

広い海の真ん中で、僕はひとりだ。

「おーい、僕はここだよー」

返事はなかった。

僕は少し舟を漕いで進んだ。

 

「おーい」

返事はなかった。

    

「この先に何があるか教えてくれないか」

一体全体、僕はどこを目指して舟を漕いでいるんだろう。

わからないけれど、あの場所にいるよりはずっと良かった。

遠くから僕を見て、「もういいよ」と君が言ってくれている気がした。

「あれ?何か見えたぞ」

小さな島だった。

必死に舟を漕いで、気づくと涙は止まっていた。

どこか遠くで誰かが泣いている声が聞こえた。 

広い広い海を渡ろう この海は枯れない

止まらない涙が海になれば 前に進める 次の島へと

 

いつかまた君に会えたら、そうしたら今度こそ誓いを交わそう。

いつかまた君に会える日まで、涙の海を渡ろう。

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