「ラストシーン」
水の中から空を見た
泣いてるのかい?と声をかけた
風の強い日だった
好きな小説の最後のページが
めくれないまま大人になった
モビールが風に揺れる
水槽の魚達は
今日もちょろちょろと泳ぎまわって
食べくさしのエサ
気づかないフリしてないよ
いまさら
君は素敵だよ
僕はそう思ってる
届かない手紙を送った
あたたかな春だった
遠くに聞こえてきた
君の歌声が耳に残っていた
流された嘘
よそ見していた日のこと
いまさら
ラストシーンには何もなかった
夕映えに染まる
あの海を見に行こう
君は素敵だよ
僕はそう思ってる
届かない手紙を送った
あたたかな春だった